第6章 人前で上手に話せず悩んでいる君へ 

6 人前で上手に話せず悩んでいる君へ

いくつかの調査結果から日本人の約80%以上の人が、「人前で話をすることが苦手だ」と、感じているようです。残りの約20%の人は、苦手意識を努力によって克服した人か、まったく人のことを意識しない変な人のどちらかです。つまり、ごく一部の変な人を除いたほとんどの人は、本来、多くの人前で話すことを苦手としているのです。

「苦手意識を克服した人は、まったく緊張しなくなるのか?」というと、実はそうではありません。苦手意識を克服しても緊張は消えないのです。ただ、しっかりとした準備と訓練、そして緊張を和らげる独自の工夫によって、乗り越えて来たのです。

あるアイドル歌手は、全国ツアーのコンサートで、最初にステージに登壇するときには、いつもステージの袖で、あまりの緊張から毎回震えて泣いているそうです。それでも彼女は開演が近づくと、「私はアイドル…みんなが待っている…」と、心の中で自分に語りかけ、気持ちを奮い立たせて笑顔でステージの中央へ走り出すのです。

人間の感情には、ある感情が強くなると、それまでの感情が後ろに下がり、入れ替わる仕組みになっています。人前で話す恐怖という感情以上に強い感情を心に沸き立たせることができれば、緊張も克服できるのです。

私は、緊張を克服するために怒りの感情を利用しています。今までに心から許せないと思った経験を思い出し、怒りの感情を心に沸き立たせます。そうすると、目の前の人達などどうでも良くなり、緊張も消えます。緊張が消えたら、次に心から嬉しかった記憶を思い出し、笑顔になってスピーチを始めるようにしています。

スポーツ選手が試合前に縁起をかつぎ、決まった行動(ルーティン)をするのも、緊張をほぐし、最高のパフォーマンスを発揮するための工夫です。

いろいろと試してみて、自分独自の方法を見つけましょう。

もちろん、事前準備として原稿制作、練習による修正、話し方の技術として声の強弱、間の取り方など、やるべきこと学ぶべきことはいろいろあります。でも、一番大切なのは、伝えたいという強い思いです。これがあれば、たとえ途中が少しぐらい失敗しても、相手は真剣に聞いてくれます。

私は高校生から、「もし高校生にもどれたら、どの部活に入りたいですか?」と、質問されました。私は放送部に入りたいと答えました。なぜなら、人生において、一生必要となるのは、文章を書くことと人前で話すことだからです。人前で話すことをしっかり学ぶ機会はあまりなく、唯一、放送部はスピーチ原稿の制作から発声法、そして発表の機会まで総合的に学べる部活だからです。いい声と話し方は人の魅力を高める強力な武器になります。そこを磨かないのは、すごくもったいないと思うからです。

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